第113回木三会のご報告【フジワラ化学株式会社】
2023年6月15日に開催した第113回木三会では、はじめに前回ゲストの水谷ペイント株式会社の水谷専務から「受け取り直し」のお話をお伺いした後、今回ゲストにお招きしたフジワラ化学株式会社の天野さまと長井さまのお話をお聞きしました。
■前回ゲスト 水谷ペイント株式会社・水谷専務の「受け取り直し」
【水谷ペイント株式会社・水谷専務より】
前回は、新たに立ち上げたエム・エイチ・エル株式会社の取り組みとして、樹脂の技術を中心にご紹介させていただきました。木三会での発表を通じて、改めて裾野の広い技術だと感じました。 コーティングジャパン(塗料・塗装設備展)で協業のお話も多くいただきましたので、木三会の会員の皆さまとも協業・提携していければ幸いです。
【石丸が感じた課題創出】
今は、エム・エイチ・エル株式会社という新しい企業を立ち上げられ、一つ一つ積み上げる段階だと思います。前回の内容はアナウンスメントでした。今後、水谷さんの方からも具体的な要望を出してもらい、木三会のメンバーとの間で協業の可能性が広がっていけば良いと思います。
ただ、木三会に参加されている専門外の方からは、少しわかりにくかったという意見もございました。 協業にあたっては、もう少し噛み砕いたご説明で理解を共有できれば、可能性が広がるのではないかと感じました。
■今回ゲスト フジワラ化学のご講演 〜京セラ美術館での施工経緯とSDGs取り組み〜
フジワラ化学株式会社のご紹介
今回のゲストであるフジワラ化学株式会社は、1955年5月に、藤原スサ工場として創業し、創立68周年を迎えるメーカーです。塗り壁、塗装剤、壁面防水材、壁紙の開発製造を中心に、健康食品も製造しています。「住む人が幸せになる」をテーマに、天然素材を最大限に生かした仕上材「ハッピーウォール」をコンセプトにされています。
京都市京セラ美術館での施工経緯
今回は、京セラ美術館での施工経緯を中心にお話をお伺いしました。1933年に公立美術館として日本で2番目に開館した歴史ある美術館であり、青木淳・西澤徹夫氏の設計共同体によってリニューアルされ、2020年5月26日にオープンしました。
京セラ美術館の改修工事にあたり、施工会社からの相談を受けて、ローラーで塗れる珪藻土仕上材「エコプラスF」を提案したところ、天井・壁の仕上材に採用されたそうです。
竣工時は漆喰で施工されており、戦後の改修で塗装されていた部分が劣化し、剥がれてしまっている状態でした。
別の改修方法として、プラスター塗装も提案されていましたが、「エコプラスF」は、施工の難易度が低いことによる工期の短さと、コスト優位性で選ばれたのではないかと長井さまは分析されておりました。
フジワラ化学株式会社は、施工会社の抱えている困りごとに対し、寄り添った対応をされてこられており、その積み重ねが受注に繋がったのでないかと感じました。
※京セラ美術館の事例は、フジワラ化学株式会社のHPでも紹介されております。
https://www.fujiwara-chemical.co.jp/blog/25078/
SDGsへの取り組み
フジワラ化学株式会社は、住む人が快適で安全に暮らせるための製品づくりを通じて、SDGsの取り組みを進めておられます。
・SDGsの目標3 すべての人に健康と福祉を
珪藻土ペイントの自然素材配合比率は約84%です(珪藻土、炭酸カルシウム、酸化チタン等の合計) 吸放湿性、抗菌抗ウイルス性、化学物質の吸着性等により、快適で健康的な室内環境づくりに貢献します。
・SDGsの目標11 住み続けられるまちづくりを
内装用仕上げ塗材は、壁紙と比べてメンテナンスサイクルが長いことも大きな特長の一つです。 珪藻土ペイントは改修の際にも、上から塗り重ねることができますので、産業廃棄物を減らし、環境負荷の低減が期待できます。
・SDGsの目標12 つくる責任、つかう責任
生産活動や適切な雇用創出を目指し、国産の原材料採用を積極的に検討しています。けいそうどペイントに使用している珪藻土は大分産、炭酸カルシウムは広島産を使用しており、これらはけいそうどペイントの約40%を占めています。
コロナ禍の中での新製品販売
コロナ禍では、自粛生活に伴って、自宅で過ごされる方が増える中で、生活空間の中で健康に暮らしたいという方が増えました。そんな中、抗菌抗ウイルス性能を持つ「けいそうどペイント」は、まさに時宜を得た製品でしょう。
また、ローラーで塗れるという性質は、DIYに取り組む人からも多くのお問い合わせがあり、販売につながったそうです。
ローラーで塗れるけいそうどペイントは、他企業にはないそうです。
フジワラ化学株式会社は、左官材料と塗装剤のメーカーであり、どちらの技術もお持ちだからこそ、「ローラーで塗れる」画期的な商品を生み出せたことは、面白いと感じました。
現在は、内装においては、ほとんどの方が壁紙を選ばれておりますが、DIYの広がり、意匠性に対するこだわり、健康に対する意識の高まりを受けて、これから可能性が広がっていくのではないかと思いました。
【石丸が感じた課題創出】
自社の基盤である塗料と左官材料の融合体であるローラーで塗れる珪藻土塗料は、一般の人にわかりやすく、また、実は欲していたものでした。今の時代にヒット商品となる必要条件を満たしています。 ここには、これからの建材のあり方のヒントが隠されていると感じました。
※【石丸が感じた課題創出】は、石丸が木三会で議論する中で課題や気付いた点について記載しています。
木三会は、以下の3点に重点を置いて、議論していきます。
1.業界の枠を超える
2.一般の人に向けてわかりやすいように説明する
3.未来に向けてどのように価値をつくっていくか
■第113回木三会 セミナー担当企業さま
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フジワラ化学株式会社 (本社・工場)
〒799-1342 愛媛県西条市大新田94
TEL:0898-64-2421
URL:https://www.fujiwara-chemical.co.jp
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■写真
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