【第140回木三会】ナフサショック!?シンナー・塗料が足らない!?これからの塗料技術【水谷ペイント株式会社】
■ 石丸の感想
「ナフサショック!?シンナー・塗料が足らない!?これからの塗料技術」について、当事者のひとつのメーカーである水谷ペイントの松良さんから概要をお聞きしました。
建材関係の品不足というのは、私の経験で言うと、数年前の高力ボルト問題がありました。 当時、保育園の設計をしていました。工事が止まると大変なリスクになるので、その課題に対して手をうちました。 その時の状況は、いったん報道で高力ボルト不足と報じられると、関係者が在庫を確保しようとして、メーカーの在庫が無くなっていきました。
実際は、日本国内の総数として足りていたのですが、世の中を煽るかのように高力ボルト不足の側面の報道が加熱し、関係者がみな発注を確保しようとしました。結果、必要以上の発注が計上され品不足になりましたが、時間が経つと、高力ボルト不足は実際はなかったということでした。
今回のナフサ不足も、似たような現象になっているのではないかと思います。 2026年7月16日時点では足りてきているというお話でした。
日本のこの手の品不足の報道は、その現状認識を専門家の領域で、きちんと事実確定をしないので、 結果的には、聞き手の不安を煽る報道が多いです。
これを起点にお話を深められ、石油由来の溶剤を使わず、水を使用した水系塗料を使用していくことが、ナフサ不足に対する対策になるというお話でした。
水谷ペイントさんは、約40年前から水系塗料を製造し、十分な実績がおありです。よくお話を聞くと、塗料業界もこれまでの溶剤系塗料から水系塗料に転換を図っているようで、建築設計士の私にとっても、外部の鉄部の塗装についても、既に水系塗料がカバーしているというのは初耳でした。30年前の常識でどこかでフッ素樹脂塗装が長持ちするという考えがありました。
こういう風に技術の進化とともに、最適解も変化し続けますので、技術を分かっている人から、一般の人にもわかりやすいご説明を受けるということは、社会に流布している半分無責任?な情報を自らが確かめる貴重な機会となりました。
また機会があれば、塗料という側面での次なるトレンドと、実際のプロから見た状況を聞きたいものだと思いました。
■所員の感想
第140回木三会では、水谷ペイント株式会社の松良様より、「ナフサショックと塗料」と題し、ナフサ不足が塗料業界に与える影響と、その解決策としての水系塗料についてお話しいただきました。
塗料は溶剤60%・樹脂20%・顔料15%・添加剤5%で構成され、うち85%をナフサ由来の原料が占めています。しかし国産ナフサは供給量の20〜30%にとどまり、残りは輸入に依存しているため、イラン情勢による輸入停滞で国内メーカー間の争奪戦が起こりました。加えて、限られたナフサはガソリンや医療関連製品が優先され、塗料・接着剤向けは後回しにされたうえ、とどめとして買い占めにより需要予測や計画生産も困難になったとのことです。
塗料価格の高騰には、①円安、②酸化チタン等原材料の枯渇、③物流2024問題による輸送費高騰、④エネルギー価格の高止まり、⑤労務費の高騰、⑥ナフサ価格の高騰(2026年初比2.3倍)という6つの要因が重なっているそうです。
国はナフサ備蓄の見直しを検討していますが、これは根本的な解決にはならず、ナフサに依存しない塗料への転換が必要とのご指摘がありました。その一つが、溶剤を水に置き換えることでナフサ依存度を85%から35%まで下げられる水系塗料です。水系塗料の国内シェアは6割で2010年から横ばいが続いており、特に外壁用ではほぼ普及済みである一方、屋根用・床用は溶剤系が主流のままで、今後の伸びしろとなっています。
水系塗料への移行が進まない背景には、①付着性、②耐久性・耐候性、③金属の防錆性への不信感がありますが、水谷ペイント様は1980年から約46年にわたり水系塗料を製造しており、②は各種試験で性能が実証済み、③についても大手企業での導入実績が増えているとのことです。
さらに同社の「ナノコンポジットW」は、樹脂を無機のシリカに置き換えることでナフサ依存度をさらに低減した製品で、2004年の発売以降、2007年には塗料として初めて井上春成賞を受賞するなど、国からも高く評価されている無機塗料とのことでした。
大手企業では、環境負荷の低さや溶剤系に比べ臭いが少ない点が評価され、すでに水系塗料へのシフトが進んでいます。こうしたメリットが今後より広く認知されることで、他の分野でも水系塗料の導入がさらに進んでいくのではないかと感じました。
■写真
■第140回木三会 ゲスト企業さま
================================
水谷ペイント株式会社
〒532-0006 大阪市淀川区西三国4丁目3番90号
TEL:06-6391-3151
================================
木三会は、以下の3点に重点を置いて、議論していきます。
- 業界の枠を超える
- 一般の人に向けてわかりやすいように説明する
- 未来に向けてどのように価値をつくっていくか
NEW
-
query_builder 2026/10/02
-
【第140回木三会】ナフサショック!?シンナー・塗料が足らない!?これからの塗料技術【水谷ペイント株...
query_builder 2026/07/31 -
【第139回木三会】災害時も止まらない施設へ 非常用発電機 【株式会社RYODEN、株式会社新菱電気】
query_builder 2026/06/29 -
【第138回木三会】数値を超えた感性主体のものづくり 【株式会社OHAMA】
query_builder 2026/06/10 -
【第137回木三会】光触媒コーティングシステム 【水谷ペイント株式会社/エム・エイチ・エル株式会社】
query_builder 2026/04/24