【第114回木三会】いま、なぜ外断熱なのか?【東邦レオ株式会社】
2023年7月20日に開催した第114回木三会では、はじめに前回ゲストのフジワラ化学株式会社の長井さまから「受け取り直し」のお話をお伺いした後、今回ゲストにお招きした東邦レオ株式会社の森上さまのお話をお聞きしました。
■前回ゲスト フジワラ化学様の「受け取り直し」
【フジワラ化学株式会社の長井さまより】
前回の木三会の後に寄せられたご質問にお答えいたします。
1.エコプラスFの発売経緯は?
フジワラ化学株式会社は、内外装の材料を製造しているメーカーであり、「エコプラスF」は塗料タイプの珪藻土仕上材です。
珪藻土を使用した左官材料では、既に「シルタッチ」という製品が発売されておりました。
その製品がシックハウス対策ブームの波に乗って、販売数を伸ばしていることを受け、塗料タイプの製品も発売した方が良いのではないかという意見が上がり、発売に至りました。
当初は販売先を責任施工団体に限るクローズな製品でしたが、販売が振るわなかったため、オープンにして販売しました。抗菌・高ウイルス効果も新機能を追加して、「ローラーで塗れる」という点をアピールした結果、徐々に販売量を増やすことができております。
2.前回ご紹介のあった京セラ美術館での施工中の写真はございますか?
この事例では、下地調査や施工に至るまでの調査に力を尽くしたため、施工時まで 施工業者にも確認しましたが、エコプラスFに関する施工中の写真は撮影されておりませんでした。近々、予定されている別の事例でご紹介したいと考えております。
■今回ゲスト 東邦レオ株式会社・森上さまのご講演 〜『いま、なぜ外断熱工法なのか?』〜
東邦レオ株式会社のご紹介
今回のゲストである東邦レオ株式会社は、1965年1月に大阪にて創業し、高度経済成長たけなわの社会情勢のもと、コンクリート建築が数多く建設される中、断熱・吸音機能に優れた黒曜石パーライト系建材の製造・販売・施工をトータルで手掛けるメーカーとして歩まれてきました。
さらに1981年、パーライト系建材で培った技術を都市公園など土壌改良分野へ応用する『緑化関連事業部』を発足、「大地の力を、都市の力に」のテーマのもと、屋上、壁面緑化などにも取り組まれてきました。
くわえて、2003年、本日のテーマである事業に取り組む『外断熱事業部』が発足し、今に至っているとのことです。
外断熱の概要と効果
断熱とは熱の移動を防ぐことです。断熱材は、熱の移動を遅らせるためのものを指します。
外断熱とは、建物の外側を断熱材で包み込む工法です。一般的にコンクリートの建物に使われます。(木造建物用の外断熱材もあります)断熱層を外側に設けることによって、躯体が外気温度に影響されないようにします。
外断熱工法には、次のようなメリットがあります。
1.コンクリートの長寿命化
断熱層が外側にあるため、コンクリート躯体が外気温に影響されず、熱による膨張収縮の挙動が軽減され、劣化を防ぐことが出来ます。
2.結露リスクの低減
建物全体を断熱材で包み込んでおり、気密性が高いため、結露の発生を抑制できます。 また、コンクリート躯体に熱を蓄積できるため、冬でも内側と外側の温度差が小さくなり、結露が発生しにくくなります。
3.省エネルギー
躯体に蓄熱・蓄冷効果があるため、室内温度を一定に保つことができ、冷暖房の効率が高まります。
まとめ
今回、森上さまのご説明は、グラフや実験データ等の資料を活用したわかりやすい内容で、外断熱工法の概要と効果がよく理解できました。
会場の方との間でも、活発な質疑応答のやり取りがありました。
外断熱工法は、省エネルギーや快適な室内環境の実現など、今後大きな課題となる気候変動による温暖化に対し、効果が高い魅力的な技術です。
今回、皆さまと共有した理解をもとに、東邦レオ様とも、今後、なにか協同できることがあれば、取り組んでいきたいと思います。
都市緑化・街づくり事業のご説明
東邦レオ株式会社は、都市緑化の他に街づくり事業も手掛けられております。
今回は、その事業を担当しておられる程塚さまから、事業の概略のご説明も受けました。
半地下の駐車スペースをリノベーションしてブルワリーにし、地域の各地で育てたホップを持ち寄って醸造し、皆で飲むイベントを開催されているそうです。
緑化だけでなく、6次産業を通じてコミュニティづくりにつなげられている点はユニークな取り組みであり、興味深いお話でした。
また次回以降、そちらのお話もお伺いしたいと思います。
【石丸が感じた課題】
技術の成果をより分かりやすくするために、データを取られて、それを伝える姿勢は素晴らしいです。
外断熱の効果=電気代の削減というように、一般の人にわかりやすいような構図で、データ化され、説明が明らかになれば、より効果的な説明になると思います。
技術を採用して、その効果がどうなるかというのは、美味しい料理のようなもので、経験した人(食べた人)はわかりますが、経験したことのない人(食べたことのない人)には味がわかりません。
「鶏がさきか卵がさきか」という議論になってしまいますが、今年の酷暑のことを考えると、外断熱の有効性を多くの方に知ってもらうことは、より多くの人の暮らしに良い価値をもたらすことができるでしょう。
今の時代に必要な技術として、東邦レオ様のますますの発展を期待しております。
※【石丸が感じた課題】は、石丸が木三会で議論する中で課題や気付いた点について記載しています。
木三会は、以下の3点に重点を置いて、議論していきます。
1.業界の枠を超える
2.一般の人に向けてわかりやすいように説明する
3.未来に向けてどのように価値をつくっていくか
■第114回木三会 セミナー担当企業さま
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東邦レオ株式会社
(本社)〒540-0005 大阪府大阪市中央区上町1丁目1番28号
TEL 06-6767-1210
URL:https://www.toho-leo.co.jp
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■写真
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