【第117回木三会】CLTの現在地と未来【銘建工業株式会社】
■前回の木三会 門田建設株式会社 門田専務の「受取り直し」
皆さまから、CLT建築のコストやどういうお客様にご提案していったら良いのか、といったご質問を多数いただきました。ただ、コストの点は、弊社は技術を使用する側であり、コストダウンのご質問にお答えすることは難しい事情があるため、その点は、今回の銘建工業さまのお話でお伺いしたいところです。 建設会社の立場として、お客様にCLTをご提案する際は、より高品質であることをご理解いただけるように伝えることが大切ではないかと感じた次第です。
■今回の木三会 銘建工業株式会社 三嶋さまのお話
銘建工業さんはCLT建材を扱っている日本のトップランナーの企業です。今回の木三会では、CLTを普及させるために、木造建築を取り巻く企業の方々と意見交換をしたいという趣旨で、材料の説明とCLTの実例、銘建工業さんの取り組みをお聞きしました。
CLTの特徴は、以下の点が指摘されています。
1. 施工が早い
2. 軽い
3. 耐震性が高い
4. 断熱性が高い(室内外の温度差が少ない)
また、木造建築の良さとして、木のやわらかさや木の香りが挙げられます。
従来、木造の建築物で大規模な建築物を建築することは難しかったのですが、最近はCLTなどの集成材技術が深化し、次々と中大規模建築物の施工事例が増えています。
香川県のオフィスの事例では、設計上の工夫で8m梁を飛ばすことができており、スッキリとした広い空間が生まれ、その広い空間にCLTの断面が表れているため、木の印象を大きく感じられて、見ていて心地よさを感じました。
6階建て(下2層がRC造、上4層がCLT造)の高齢者施設の事例では、RC造の下階と比較して、CLTの上階は床がやわらかく、歩く方の腰の負担が減った点や、木の香りで気分が安らぐといった意見が紹介され、人にやさしい点が印象に残りました。
一方で、デメリットとしては、他工法よりコストが高い点や防耐火基準への適合が難しい点が挙げられます。
銘建工業さんは、今後、CLTコストを低減する点においても、流通量拡大に向けて鍵となる住宅、特に中大規模の共同住宅への展開を積極的に計画されており、個別認定の構造技術を開発中です。
また、防耐火関係では、準耐火基準に適合できる塗料の開発に取り組んでおられます。
CLT工法では、組み合わせる断熱材や遮音材などの建材はまだ選択肢が少なく、こちらも様々な企業と連携することで新製品開発を進めておられます。今回の木三会で会場に来られた断熱関係のメーカーさんともそのような製品を鋭意開発中とのことです。
今回のご講演の中での事例でご紹介された意見や、会場での質疑応答の意見でもあげられましたが、 昨今、SDGsや利用された方の居心地の良さが着目され、木造建築には強い追い風が吹いております。
コストや耐火性能の課題はありますが、今後、ますます普及が予想される中で、CLTはまだ周辺技術を含めて未開発なゾーンが多いため、この流れを意識して備えていかなければならないでしょう。
これからも様々な企業が集まる場として木三会を継続的に開催し、様々な企業と銘建工業さんとの連携の動きに注目していきたいと思っております。
■第119回木三会 セミナー担当企業さま
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銘建工業株式会社
〒717-0013 岡山県真庭市勝山1209
TEL: 0867-44-2695
FAX: 0867-44-5105
URL: https://www.meikenkogyo.com/
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木三会は、以下の3点に重点を置いて、議論していきます。
1.業界の枠を超える
2. 一般の人に向けてわかりやすいように説明する
3. 未来に向けてどのように価値をつくっていくか
■第119回木三会 写真
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