【第126回木三会】お客様一人ひとりの要望に寄り添うことを徹底する【織部製陶株式会社】
今回は、岐阜に生産工場を持ち、尼崎に拠点を置くタイル製造販売会社である織部製陶株式会社の谷川大阪支店長からお話をお聞きしました。
織部製陶さんを初めて知ったのは、新今宮にある星野リゾート「OMO7」のエントランス天井に貼られた三角形のタイルを見たときでした。このような立体的なタイルがあることを全く知りませんでした。お話を伺うと、織部製陶さんで受注生産を行っておられるとのことで、その特徴的なタイルを生産された背景や、事業の展開方法に関心を抱き、今回ゲストとしてお招きしました。
織部製陶さんは、特注タイルの生産に特化し、基本的に在庫を持たないスタイルを採用されています。建物のプロジェクトごとに、建物のイメージ、形状、色、予算などに合わせて、設計者やデザイナーと綿密に打合せを行い、要望を細やかに汲み取り、生産を進めておられます。
織部製陶さんが生産されているタイルは「せっき質タイル」と「磁器質タイル」の2種類です。OMO7で使用されたタイルは磁器質タイルで、乾式プレス成形で大量生産が可能な製品です。軽量でしっかりした形状を持ち、シート状に貼れるため、主に集合住宅等で使用されています。
一方、織部製陶さんが得意とされているのは「せっき質タイル」です。岐阜県瑞浪市で採れる白い粘土は、鉄分や不純物が少ないため、高品質なタイルができます。 また、「ハンドメイドタイル」も特徴の一つで、職人が1枚1枚手仕事で表情をつけており、仕上がりにはかなりのバリエーションがあります。金属加工物(鉄など)を刷り込み、鉄さびのような風合いを表現することも可能だそうです。
さらに、釜の中で不完全燃焼させる「還元焼成」で、自然な色幅をつける技術にも取り組んでおられます。 鉄分が少なく水を吸わない土だからこそ、釉薬を使わず、土そのものを活かすことができます。
このように、織部製陶さんは、焼き物ならではの土の風合いを活かした製品づくりを丁寧に行っている点が印象的でした。
代表的な製品の一つである「クレイマイスター」は、要望に応じて色やテクスチャーをカスタマイズ可能で、まるで土のような表情を見せながら、非常に高い硬度と耐久性を備えています。20トントラックが載っても壊れず、水を吸わないため、雨が降ってもすべらない点は画期的だと感じました。
最近では、「オリベプラス」という既製品も製造されており、日常的に気軽に使えるような製品の提供にも力を入れています。
創業者の方は従来のゼネコンに対する風上営業を変えるべく織部製陶株式会社を創業されました。
「1点物を追求し、望まれるものをつくる」という姿勢は、お客さんの要望に徹底的に寄り沿うもので、深い感銘を受けました。
これを実現するには、デザイナーの要望に応えるための幅広い知識と美的センスが求められると感じました。
上記のような、織部製陶さんの一般のタイルメーカーと異なるアプローチには、大きな可能性があると感じます。
今回は年始ということもあり、参加者が少なかったため、近い内に再度お話を伺ってみたいと思います。
■写真
第126回木三会の様子
■サンプル写真 奥の白い土の塊が瑞浪で採れる粘土。隣の枯木は、その土の中から採れるもの。
■第126回木三会 ゲスト企業さま
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織部製陶株式会社
〒660-0885 兵庫県尼崎市神田南通3−69−2
TEL:06-6419-4441
URL:https://www.olivebricks.co.jp
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木三会は、以下の3点に重点を置いて、議論していきます。
- 業界の枠を超える
- 一般の人に向けてわかりやすいように説明する
- 未来に向けてどのように価値をつくっていくか
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